Column木とともに、人とともに。

2020年10月06日

天然木について ③塗装

第三回目の今回のテーマは、「塗装」です。

塗装の種類

塗装は天然木商品の経年・寿命に大きく関係する、大切なポイントです。

塗装には多くの選択肢があり、悩まれている方も多いと思います。

 

天然木に施される塗料は、大きく3タイプあります。

・造膜タイプ

・半造膜タイプ

・合侵タイプ

 

ひとつひとつ、説明していきますね。

造膜タイプ

造膜タイプとは、木の表面に塗料の膜を作り、保護するタイプになります。

 

<メリット>

・木に汚れが染み込まないので、普段の掃除がしやすい

・他のタイプと比べてキズがつきにくい

 

<デメリット>

・表面に塗料の膜を作るので、木の感触、風合いがなくなる

・キズがついたときに部分的に補修ができない(全面塗装をはがす必要がある)

 

<具体的な塗料の種類>

・ウレタン、ラッカー

・ペンキなど

UVラッカー塗装 表面

イメージ図

半造膜タイプ

半造膜タイプは、木の特徴をなくさない程度の塗膜をつくるタイプです。

 

<メリット>

造膜タイプと合侵タイプの中間タイプ

比較的メンテナンスも容易

 

<デメリット>

きれいに塗るのが少し難しい

・木の表面に若干の塗膜を感じる

 

<具体的な塗料の種類>

・ハードワックスなど

ハードワックス塗装 表面

合侵タイプ

含侵タイプとは、表面に塗膜を形成せず、木の中に染み込むタイプです。

 

<メリット>

木の感触、風合いを活かした仕上がりになる

部分補修が可能

 

<デメリット>

キズや汚れが付きやすい

再塗装の周期が早い

 

<具体的な塗料の種類>

・自然オイル

・染色ステインなど

自然オイル塗装 表面

イメージ図

まとめ

ご覧のように、それぞれの塗料タイプに一長一短があり、天然木を使う場所や使い方によって適正が変わります。そのため、「これが一番いいですよ!」と言うのは難しいのですが、それぞれの塗料タイプの良さを最大限に活かすことに着目すれば、目的に応じて選ぶことができます。

住宅で天然木を使う場合、含侵タイプをご採用いただくケースが圧倒的に多いです。家でくつろぐとき、木の感触・香りが感じられると、リラックス効果も格別ですからね。

一方で、幼稚園や保育園でも天然木をご採用頂くケースも多いのですが、その場合、オーナー様のお考えによって、含侵タイプか造膜タイプ、どちらかが選ばれます。

 

半造膜タイプは「造膜タイプと含侵タイプの良いところ取り」とも言えますので、これからさらに普及してくるかもしれません。

 

お打合せでは、「木の種類選び」をじっくりされることも多いかと思いますが、「どの塗料を使うか」ということもとても重要です。というのも、⾧年にわたるお手入れの仕方や、木に触れたときの質感にも大きく影響するからです。

 

今回の内容を、ご要望・目的に合った塗装選びの参考にして頂ければ幸いです。
塗料タイプによって日ごろのお手入れに使えるクリーナーややり方も変わるため、注意が必要です。
これについては「メンテナンス」のテーマの回に詳しくご説明しますね。

●日常のお掃除のしやすさを最優先したい ・・・ 造膜タイプ
●天然木の良さを最大限に活かしたい ・・・ 含侵タイプ
●木の良さも感じたいが、日ごろのちょっとしたお手入れも楽にしたい ・・・ 半造膜タイプ